点検や測量でドローンを活用しやすくなる!
人口集中地区や夜間等の状況でドローンを飛行させる場合には、事前に国土交通省への許可承認申請が必要ですが、申請をしてから審査が終了するまでには、おおむね土日祝日を除いた10日間ほどかかってしまいます。場合によってはそれ以上の時間が掛かる事も。
特に点検などの業務が急遽入ってしまった時には、事前に包括申請に対する許可を得ていたとしても、飛ばす場所や時間帯によっては、申請時に添付した飛行マニュアル外の運用となってしまう場合があります。
別途個別申請を行うというのが解決策の1つでしたが、そうすると審査に必要な日数がどうしてもかかってしまいます。
そこで国交省は2021年の10月に航空法の施行規則を改正して、係留したドローンであれば、人口集中地区や目視外飛行・夜間飛行、物件投下の際に許可承認を不要にする方針です。
(参考:共同通信『係留ドローンは許可・承認不要に 人口密集地や夜間飛行、国交省』)
「係留」と言えば、船をロープ等で港や桟橋に固定するというイメージですが、ドローンの場合の「係留」とはどのような状態なのでしょうか。
今回の施行規則の場合ですと、ドローンを30m以下のワイヤやロープ等でつなぎ、第三者がドローンの飛行範囲に入らないようにチェックしているという状態です。
最近は東京オリンピック等のスポーツイベントでもドローンが撮影で頻繁に使われていますが、ドローンが飛んでいる場面でよく目を凝らしてみると、機体がワイヤーの様な物で繋げられていて、万が一飛行中に機体にトラブルが発生しても、選手に落下しないようになっているのがお分かりいただけると思います。
また、釣り竿のリールのような形状をしたドローンの係留装置というのも販売やレンタルされています。
何かと規制ばかりというイメージが強いドローンですが、政府はさらなる活用を推進していこうという方針です。
今回はしっかりとした安全対策をとれば、事前の許可・承認を不要とするある種の緩和措置とも言えます。
ドローン活用・普及に関する日本の課題の1つは、法整備(ルール作り)にあります。
ドローン前提社会に向けてスピーディーな法の整備というのが望まれます。
令和3年6月1日より新たに飛行禁止空域が追加
ドローンに関係する最重要法律とも言える『航空法』では、飛行方法を厳格に定めている他、従来下記の3か所を飛行禁止空域と指定して、ドローンの飛行を原則禁止していました。
無人航空機を飛ばすことで、万が一事故が発生した場合に重大な事故となってしまう可能性がある場所や、飛行機など他の航空機の安全な運航を妨げる恐れがある空域では、安全性を確保した上で国土交通省より飛行の許可を得なければ無人航空機を飛行させることが出来ません。
令和3年5月31日以前は上記の(A)、(B)、(C)以外の空域が無人航空機の飛行可能空域として設定されていました。
しかし、先日災害現場上空を飛行していたドローンによって、消防ヘリが災害対応を中断せざるを得なくなり、迅速な消火活動に著しい支障をきたすという事件が発生しました。
この事件を受けて、国交省は航空法施行規則を改正し、新たに飛行禁止空域として
を追加しました。
これにより令和3年6月1日以降は、従来の3か所に『緊急用務空域』を加えた4か所の空域が、無人航空機の飛行禁止空域として規定されることになりました。
では、新たに施行された航空法で定義する『緊急用務空域』とはどのような空域のことを指しているのでしょうか?
『緊急用務空域』は、空港等周辺や人口集中地区の上空等の飛行禁止空域とは異なり、常時設定されている飛行禁止空域ではなく、災害等が発生した場合にその規模に応じ、捜索、救助等活動のため緊急用務を行う航空機の飛行が想定される場合に、国土交通大臣によりその都度指定される飛行禁止空域になります。
注意しなければならない点は、①規制の対象は200g以上の無人航空機だけではなく、すべての機体が対象になるという事と、②たとえ事前に「空港等周辺」、「150m以上の高さの空域」、「人口集中地区上空」等の許可を得ていたとしても、その空域が『緊急用務空域』として指定されれば、無人航空機の飛行は原則禁止となります。
『緊急用務空域』が指定される要件を考慮すると、今現在自分がドローンを飛ばしている空域が突然『緊急用務空域』に指定される場合があります。
もちろん、その様な場合であっても速やかにドローンの飛行を中止しなければいけないのですが、『緊急用務空域』が設定されたかどうかはどのように調べればいいのでしょうか?
国土交通省航空局の無人航空機専用Twitter(@mlit_mujinki)をチェックする
国土交通省 航空局では無人航空機の飛行規制に関する情報を発信する公式Twitterアカウントを開設しています。
『緊急用務空域』が設定された際には、このTwitterアカウントに以下のようなツイートが流れます。
国土交通省 航空局のホームページ(https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html)を確認する
『緊急用務空域』が設定されると、対象の期間や空域などの情報が国土交通省 航空局のホームページに以下のように掲載されます。
また、ドローンを飛ばす際には飛行予定のエリアが、現在『緊急用務空域』に設定されていないかどうかを事前に確認する義務があります。
国土交通省のTwitterをフォローして、通知をONにするなどして、空域情報の収集に努めましょう。
来年にも大きな改正を控えている航空法ですが、頻繁に改正が行われています。
古い知識のままドローンを飛行させることは極めて危険です。今回の施行規則の改正も悪質なドローンユーザーが起こした事件が発端となっています。
ドローンの最新知識を身に付けるには、ご自身で時間を掛けて調べることも可能ですが、何より正しい知識を身に付けるのがドローンを運用する上でも大切になってきます。
もちろん、マジオドローンスクールの座学講習の内容は今回の改正内容も踏まえて更新済みですので、ドローンに関する最新の知識が身につきます。
安全安心な運用を心掛けて、充実したドローンライフを過ごしましょう。