ドローン飛行に関するマナーの解説
あなたもドローンを飛ばしてみよう!!でもちょっと待って!
ドローンは購入後、多くの機種で特に難しい設定も必要なく飛ばすことができますが、「室内では狭いから、自宅の庭で飛ばそう!私有地だから問題無い!」と思う人も多いはずです。
しかし、あなたがドローンを飛行させようとしているその自宅の庭、事前に無人航空機の飛行ができる空域であることを確認しましたか?
実は、たとえ私有地であったとしても、法令によってドローンの飛行が制限される場合があります。万が一、法令違反とされれば罰則もありえますので十分に気を付けてください。
ドローンを飛行させる時に絶対に知っておくべき法律「航空法」って何?
先程も取り上げましたが、ドローンを手に入れたからといって、いつでもどこでも飛ばせるわけではありません。ドローンの飛行はさまざまな法律・条例等で規制されている場合があります。
そこで、引き続きドローンを飛行させる上で絶対におさえておくべき法律「航空法」について解説していきたいと思います。
航空法とは?
航空法とは、1952年(昭和27年)に制定され、民間の航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止などを目的としている法律で、国土交通省の所管となっています。
重量が100gを超えるドローンを飛行させようとした場合、この「航空法」の規制となる対象範囲が広く、運用の際には飛行禁止空域や無人航空機を飛行させる時の飛行ルールが定められています。
飛行禁止空域
※国土交通省ホームページより「(1)無人航空機の飛行の許可が必要となる空域」を一部加工して掲載しています
<航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれのある空域>として
〇空港周辺
〇緊急用務空域
〇150m以上の上空
<人または家屋の密集している地域の上空>として
〇人口集中地区
上記の4つの空域のうち、どれかひとつでも該当する場合は原則的に無人航空機の飛行は禁止されています。つまり、このいずれにも該当しない空域だけが飛行可能ということです。
どうしても飛行禁止空域内で飛行させなければならない場合は、原則、あらかじめ国土交通大臣の飛行許可を受ける必要があります。(「人口集中地区」での飛行は、「立入管理措置」を講じた場合、カテゴリーⅡB飛行に該当し、二等以上の無人航空機操縦者技能証明を有する者が第二種以上の機体認証を受けた重量25㎏未満の機体を使用して飛行させる場合は、飛行マニュアルの作成・遵守といった安全確保措置を行った場合に事前の許可は不要)
人口集中地区の確認
人口集中地区とは「市区町村の区域内で人口密度が4,000人/km 以上の基本単位区(平成2年(1990年)以前は調査区)が互いに隣接して人口が5,000人以上となる地区に設定される。ただし、空港、港湾、工業地帯、公園など都市的傾向の強い基本単位区は人口密度が低くても人口集中地区に含まれる。」と定義されていますが、これを文字のまま捉えるとよくわかりません。そこで国土地理院では下記のサイトで人口集中地区を視覚的に判断できるようにしています。
国土地理院のサイト
こちらで赤くぬりつぶされている箇所が人口集中地区になります。
つまり、航空法で飛行が禁止されている空域です。
冒頭のお話しに戻りますが、この人口集中地区内にあなたのご自宅の広い庭(私有地)があったとしても、事前の飛行許可なしでは100g以上の無人航空機を飛行させることは、原則できないという事になります。
飛行時のルール
航空法では飛行禁止空域のほかに飛行時のルールも定められています。
<遵守事項となる飛行の方法>
<承認が必要となる飛行の方法>
※国土交通省ホームページより画像を一部加工して掲載しています。
上記を解説すると
⑴飲酒時の飛行禁止
⑵飛行前確認
⑶衝突予防
⑷危険な飛行禁止
⑸日中での飛行
⑹目視の範囲内
⑺人・物件・車から30m以上の距離を保って飛行させること
⑼危険物輸送の禁止
⑽物件投下の禁止
飛行の際にはこのルールに則って運用する必要があります。このうち、⑴~⑷は遵守事項となりドローン運用の際には絶対に守らなければなりません。また、⑸~⑽の方法で運用したい場合ですが、国土交通大臣の承認が必要になります。(「夜間飛行」、「目視外飛行」、「人または物件から30m以内の飛行」については「立入管理措置」を講じた場合、カテゴリーⅡB飛行に該当し、二等以上の無人航空機操縦者技能証明を有する者が第二種以上の機体認証を受けた重量25㎏未満の機体を使用して飛行させる場合は、飛行マニュアルの作成・遵守といった安全確保措置を行った場合に事前の許可は不要)例えば、農薬散布にドローンが用いられることがありますが、「目視外で農薬を散布したい」といった場合には、「目視の範囲内」、「物件投下の禁止」、「危険物(農薬)輸送の禁止」というルールに則った運用にならないので、国土交通省の手続きを経て承認を受けなければいけません。
航空法に違反したときの罰則
航空法に違反した場合は五十万円以下の罰金に処するとされています。
ドローンを運用した際にルールを守っていなかったことにより、逮捕者も出ています。
例えば、2019年5月には東京都内の人口集中地区かつ公園内でドローン(小型無人機)を無許可で飛行させたとして、警視庁保安課は都内在住の男を航空法違反容疑で逮捕しました。警視庁管内では本件が初の航空法違反による逮捕者になり、今後、法律に則った運用をしていない場合、操縦者が逮捕される事例がますます増えることが予想されるでしょう。
ドローンを飛行させる際には必ず飛行ルールを守りましょう。やむを得ず飛行ルール外の運用となってしまう場合には必ず関係各所に許可を得ましょう。どこに許可をとって良いかわからないという場合には最寄りの役所に問い合わせるのも良いでしょう。
結局自宅の庭では飛ばせるのかどうやったらわかるの?
では、話を戻して自宅の庭でドローンを飛ばすにはどうやったら確認すればいいでしょうか?
先程も述べたように、航空法により「人口集中地区」の上空-①以外にも以下のような空域での飛行は国土交通大臣の許可を受ける必要があります。
・空港等の周辺の上空の空域-②
・緊急用務空域-③
・150m以上の高さの空域-④
①-②-③-④以外の空域であれば、飛行許可を取る必要はありません。
①-②-③-④以外が飛行可能空域であるというだけで、飛行の際には先程の航空法で定められた飛行ルールに則って飛行をしなければ航空法違反となります。
航空法対象外の空域だとしてもルール・マナーを守って飛行させよう
自宅の庭の上空が航空法での規制対象外の空域であり許可を取る必要がなかったとしても、プライバシー権(肖像権)の侵害などに問われる場合があります。
他人の住宅地上空などでの飛行はやはり避けるべきでしょう。
また、河川敷や海岸、公園では法律や条例によりドローンの飛行が規制されている場合があります。
河川敷、海岸、公園でドローンって飛ばしてもいいの?
ドローンは飛行場所によっては航空法に関わらず、その他の法律や条例によって飛行自体が制限されている場合があります。
では具体例として「河川敷」、「海岸」、「公園」でドローンを飛ばそうと思ったときに、知っておかなければならないことはあるのでしょうか?
※これから挙げる具体例では、航空法の飛行可能空域かつ航空法に則った飛行ルールの下で運用することを前提としています。
河川敷でドローンを飛ばす前に知っておくべきこと
河川敷はある程度の広さがあるためドローンの練習にはうってつけの場所ですが、「河川法」という法律によって管理・安全に支障を及ぼす行為が禁止されています。「河川法」自体にドローンの飛行そのものを禁止する事項はありませんが、河川を管理する組織の独自の判断によりドローンの飛行を禁止とする場合もあります。
他人の私有地でドローンを飛ばす場合にはその土地の所有者の許可を取る必要がありますが、「河川敷」も自治体・行政の管理地であり、ドローンを飛行させる際には河川を管理する自治体・行政に許可を取る必要があります。
ほとんどの場合、河川周辺には注意・警告の看板が立っていて、そこに河川を管理する部署の連絡先が記載されています。
どうしても連絡先がわからない場合には一番近場の役所へ問い合わせてみましょう。
河川敷でドローンを飛行させる際には必ずそちらへ連絡して、確認を取るようにしましょう。
海岸でドローンを飛ばす前に知っておくべきこと
海岸はきれいな砂浜と打ち寄せる波などの映像が撮れるためにドローンを飛ばしてみたい場所ですが、実は海岸も「海岸法」という法律により、管理する組織の判断により制約を受ける場合があります。
ただ、海岸はその性質から河川よりもドローンに対する制約が比較的緩やかでもあります。
しかし、近年ではドローンに対するイメージ自体があまりいいものではないという現実があり、ドローンを飛ばしているだけで通報をうけて警察官が来ることもあります。
海岸で飛行させる際にも事前に管理する組織(不明な場合は一番近場の役所)と管轄の警察へ連絡しておきましょう。
公園でドローンは飛ばせるの?
近所である程度の広さがある場所があるところといえば公園ですが、ほとんどの公園ではドローンの飛行が原則禁止されています。
特に東京都の都立公園ではドローンの飛行は、すべて禁止となっています。先程の航空法による警視庁初の逮捕者は公園内でドローンを飛行させていました。
また、公園自体が公共性が非常に高いため、出来るだけドローンの飛行は避けたほうが無難ですが、どうしても飛行させなければならない場合には、事前に必ず関係各所へ連絡をして許可を得ましょう。
このように、ドローンを飛行させようとしたとき、越えるべきハードルは非常に多く存在します。
マジオドローンスクールの座学ではこれらの法令に関して詳しく解説しています。
初めてのドローン運用に不安を感じる場合は、飛行前にマジオドローンスクールで講習を受講してみてはいかかでしょうか?